書も積もりし

小説、哲学、雑感など。誤字・脱字が多いのが哀しい

2016年下半期読書ベスト20 ①

上半期を15作やったのですが、下半期は20作選びました。 11月までの読書なので、出るのが早いです(苦笑) また、下位のものはちょっと辛口になっていますがほとんど良い読書でした。20位~16位までを最初に!20位 カルペンティエール/失われた…

詩2つ

「同じ」最近この頃、朝方、幸福、夕方、ズドン。 夜には、プラマイゼロで、このヘビーローテーション 私、いる、いない、いる、幸せ、ある、ない、ある、 形だけの、提出物では、五丁目のお豆腐屋のお嬢さんはおとせない。 声うわずって、私、マリヤ様の聖…

人間の無価値性とキリスト教について

今回の記事はダークで論争を呼ぶような内容になっているので、心に余裕のあるときにお読みください。 ダークなこともこの世界にあふれかえっているので、それらを取り扱わないことには世界の真理に近づく哲学(ジジェク)は不可能となってしまうから。 東京…

ドラマ「カバチタレ!」の深さ――社会に生きる女性

DVD-BOX" title="カバチタレ! DVD-BOX" class="asin"> 2001年の冬ドラで放送されたドラマ「カバチタレ」を友人の勧めで一緒に観終わったのですが、なかなか面白く、興味深い点も多々あるいい作品でした。常盤貴子と深津絵里のコンビが主演で、ふかっちゃんが…

何度目かの大原美術館を訪れて

大原美術館 www.ohara.or.jp岡山の南、倉敷市の観光地美観地区内にある大原美術館です。 授業の絵を描くというのが苦手で、特に水彩がものすごく苦手でした。筆で塗るのがニガテ。だから美術の成績は悪かった。 でも絵は好きでした。けっこう好きだった。特…

性と社会――AV女優について

■性と社会――AV女優について 最近、AV女優が「強制を迫られ企画に参加させられた」等と告発し、業界を震撼させている風潮がある。AV女優ほど男権社会――この用語の取り扱いには説明を要するが今は省く――において知られている存在もないが、もしそのよう…

僕のドラマ遍歴(1)

今日、NHK夜ドラマの「運命に、似た恋」というドラマを久々に見ました。 ドラマにハマるのは本当に一年に一つくらいで、これ見ようかなって思っても自宅に録画機能が無いので、だいたい何曜日の何時からかを忘れて、やる気がなくなってくるパティーン。 …

矛盾律の前提的感得――アウフヘーベンの更新 世の中には、矛盾律(カント)に陥る命題をもっている概念や事物がたくさん存在する。 たとえば、愛。愛は、人を救済する。 あまりに自明すぎて、これを出発点(原因)とするのは馬鹿げているようにすら見える。そ…

ジョイス「ユリシーズⅠ」を読んで

犬の吠え声が彼に駆け寄り、立ち止まり、駆け戻った。わが敵の犬。ぼくはなすすべもなく立っていた。青ざめて、黙って、追いつめられて。《恐ロシキ物ヲ思イナガラ》。薄黄いろのチョッキが、運命に使える従僕が、ぼくの恐れるさまを見てにやりと笑った。お…

〈平等〉の考察

「平等」にまつわる考察として、ある具体例をとりたい。僕自身の経験(体験)した範囲である。 僕の小学校では、一学年上にあたる人に、女性で、頭髪が全くない人がいた。そして、全校集会などで、当人を指すものとして、彼女を見た目や身体的な特徴で差別し…

(掌小説)虹を描く

これだけでも掌篇として成立しているかな、と思い、載せました(続きを書いています)。 虹を描く 光枝初郎 飛鳥は黒板に夢を描く。 早朝。誰も居ない。このひと時、本当の朝一番に忍びこむようにして学校に入り、自分のクラスの教室に入ったとき、奥に座っ…

自由に書く――主に日本の女優と映画「ちはやふる」について

ここ二日間くらいで、いつもはぼーとした頭の回転スピードが何故か速くなっているので、幾つかのことを書いていきます笑 頭の回転が速いときは、そうでないときと、全く鈍いときと、そもそも物事の感じ方や考え方、つまり世界や相手を「見る」こっちの視点が…

2016上半期読書ベスト15 (最後)

5位 鹿島田真希『ゼロの王国』 同率で笙野頼子『三冠小説』(番外で説明)ゼロの王国作者: 鹿島田真希出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/04/21メディア: 単行本 クリック: 32回この商品を含むブログ (35件) を見る 装丁や本の厚みといった点でもとても素…

2016年上半期読書ベスト(中篇)

10位 ジャック・デリダ『獣と主権者Ⅰ』獣と主権者I (ジャック・デリダ講義録)作者: ジャック・デリダ,西山雄二,郷原佳以,亀井大輔,佐藤朋子出版社/メーカー: 白水社発売日: 2014/11/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 最近『Ⅱ』が発売…

2016年上半期読書ベスト(前篇)

バルガス=リョサが、最近発売された『水を得た魚』(2016,水声社)の自伝的な叙述の中で、「一九五五年の一番の読書はナンシー・フレイザーの『金枝篇』だった」みたいなことを書いていたので、僕も読書メーターという素晴らしい管理ツールの情報を元に、だ…

ライヴDVDのこと

一か月ぶりの更新。 ライヴDVDというものがある。アーティスト、お笑い、もっと言うと映画とかドラマとか。 DVDやブルーレイは高いという捨てきれない意識があって、最近まであまり買いませんでした。思い返せば、ミスチル絡みでDVDの良さを知った…

インリズム(新)……断詩

* 人間が好きだ。私は人間が好きだ。人間はつまらないし、よく裏切るし、何も分かっていないし、傲慢だし、情緒不安定だし、頭が固いし、何より無理解で、他者存在をあまり尊ばないのに、それでも何故か、私は人間を好きになってしまう。いや、人間が好きだ…

知の細分化

知の細分化。学知が、どんどん細かくなり、専門領域はなし崩し的に増え、隣の研究所が何をやっているのかが分からない状態、それが現代の大学や科学。例えば、私は一つのフィルム映画を見たあと、それにまつわるレビューを読み、そのレビューを書いた著者は…

川端文学における「芸者」の位置づけ

川端康成の小説には、芸者(芸子、舞妓、旅芸人など)がよく出てくる。代表作に限っても「雪国」や「伊豆の踊子」など。殊に壱位二位を争う有名作である「伊豆の踊子」におけるそれは特別だ。そこには川端康成の芸者たちへの深い愛情といったものが感じられ…

過去の駄作の話

そういえば、昔、とてもつまらない小説、名前ははっきりと覚えているが、「ユメナという〈存在〉」という短編小説を書いたことがある。短い話だった。深夜の1日で書き上げて、恥ずかしいことに書き終えると高揚ととても満たされた幸福感に包まれた。だから…

セリーヌ、フランス文学

フェルディナン・セリーヌへの愛が止まらないこの頃である。 去年の冬~春ごろに頑張って?「夜の果てへの旅」を読んで、以来すっかり魅了されてしまっている。それより前に愛好していたヘンリー・ミラーの、長大な文章と自伝的な構成という類似点もあって、…

隣人について――断片の哲学(1)

*隣人について 隣人はすでに、異世界だ。隣人がすでに奥深きワンダーランドなのである。二人といった人間関係(夫婦、兄弟、友人、恋人、医者と患者……)はすでに多様性の世界の可能性を秘めている。ただ、多様性の世界へのベクトルと、それと反対の、一極化…